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2013年08月26日 14回目の薬害根絶デー 厚労省前でデモ 〜薬害根絶デー 厚生労働省前行動

2013/08/23 14回目の薬害根絶デー 厚労省前でデモ 〜薬害根絶デー 厚生労働省前行動

サリドマイド」「イレッサ」「スモン」「タミフル」――。24日、厚生労働省の向かいの道路に、これまで多くの薬害患者を生み出してきた薬の名前が掲げられ、薬害被害者らが薬害根絶を訴えた。



  ▼厚労省向かいの道路でカードを掲げるデモ参加者ら


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■主催 薬害根絶デー実行委員会
■詳細 http://www.gaiki.net/yakugai/ykd/lib/ykd2013r2.pdf

■厚生労働省前行動 動画



■「誓いの碑」前行動 動画



 8月24日は「薬害根絶デー」と呼ばれている。1999年のこの日、厚生労働省の前庭に「薬害根絶 誓いの碑」が建立されたからだ。そこには、以下のように記されている。

“命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する”

 しかし、24日の正午前から行われたデモで最初にマイクを握った中川素充弁護士(薬害対策弁護士連絡会)は「薬害の問題は依然として変わっていない。むしろ、医薬品の安全性そのものが揺らいでいる」と警鐘を鳴らした。

 デモには、中川弁護士のほかにも、薬害スモンの被害者やイレッサ訴訟の原告男性、タミフルの副作用で子どもを失った女性など、実際の薬害被害者らが参加し、薬害問題の深刻さとその根絶を訴えた。

 薬害根絶デーのデモは今年で14回目になる。デモを続けてきた理由について、薬害スモンの被害者・山田英子さん(86)は「ただひとつ、薬害をなくしたい(から)」だと語った。薬害問題について、山田さんは「役所の方々、あなた自身のことです」と語りかけ、「薬害をなくしてください。なくす努力をしてください。お願いします」と声を振り絞って訴えた。

 またデモには、共産党の小池晃議員やみんなの党の川田龍平議員ら国会議員も駆けつけ、問題解決に取り組む姿勢を強調した。

     ▼デモに参加した川田議員(左)と小池議員(右)


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 有楽町マリオン前で行われた宣伝行動では、薬害根絶デー実行委員会が、オリジナルのうちわを通行人に配布。うちわには、日本で起きた薬害が書き並べられ、薬害根絶デー実行委員は有楽町を歩く人達へ薬害の実態を訴えた。

 IWJは大学4年生の男性へインタビューした。1年生の時に薬害イレッサをきっかけに活動を始め、今回が4度目の参加だという。男性は薬害に関して、「おそらく10年後も、20年後もこの問題はあると思う」と述べ、「問題が起こる構造が変わっていないし、反省がみられない。厚労省の上の人に、反省点が引き継がれていないんだろうな、というのを感じました」と厚労省の姿勢に不満を漏らした。

■集会



■宣伝行動



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薬害根絶デー

2013年04月14日 『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No162

(2013.04.13号)

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No162

イレッサ薬害最高裁判決に対する声明

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)  浜 六郎

2013年4月13日

声明PDF版

最高裁判所は、4月12日、薬害イレッサ東日本訴訟について、アストラゼネカ社の法的責任を否定する判決を言い渡した[1]。先日すでに、国に対する上告の棄却決定がなされており、また、西日本訴訟についても本日、同様の判断がなされた。

このことから、2004年の提訴から8年余にわたる薬害イレッサ訴訟は、国と企業の責任を否定する判決が、東日本でも西日本でも確定し、終結したことになる。 しかし、薬害を起こしたイレッサの検証は終結していない。検証はこれからであると考える。そこで、合計8通の意見書を作成し[2]、大阪で4度、東京で2度、イレッサの害を証言するために法廷に立った医師としてこの裁判を振り返り、検証のはじまりに際して、問題点の本質がどこにあるのか、を指摘しておきたい。

不正行為を容認した判決

地裁ならびに高裁の判決は、アストラゼネカ社が、動物実験で開始10日目に肺虚脱で死亡したイヌの所見を慢性肺炎と偽ってイレッサの関与を全否定し、臨床試験担当医に対してもその情報を提供せず、臨床試験の初期にわずか50mgの使用で重篤な害反応が生じた例を無関係として追跡せず、有意に増加した血栓塞栓症の症例も無関係とし、第Ⅱ相の段階から、34人の早期死亡の94%(32人)の因果関係を完全否定し、日本でイレッサにより死亡した例があるのに死亡例なしと判断したことをすべて妥当とし、さらにはそのアストラゼネカ社の提供資料による国の審査を妥当とした[2]。また最高裁は、それらの判断をすべて妥当とし、追認した[1]。

これらの判決は、動物実験から臨床試験の段階および申請資料概要の作成の段階でも、虚偽の記載や虚偽の書類作成が疑われている被告所属の特定人物の見解のみを鵜呑みにして出されている。犯罪が疑われている犯人の作成した証拠のみを採用し、客観的な証拠を何ら吟味することなく不採用とする、という、あってはならない判断方法である。

薬剤として欠陥がないことが事実であれば、米国でいったん市販されながら、なぜ販売停止となったのか、なぜヨーロッパで販売されなかったのか、その理由の説明がつかない。

イレッサ薬害を検証せずして薬害は追放できない

このような、メーカーと国による不正行為が何ら批判されないならば、今後日本から、薬害は一切なくならないであろうし、むしろより広く薬害を蔓延させることになるであろう。薬害肝炎を経て、薬害再発防止のための検討がなされているが、極めてむなしい絵空事に終わることを憂慮する。

世界の流れに逆行する判決

おりしも、製薬企業による臨床試験のデータ隠しが頻繁に発生していることから、医薬品の利益を誇張し、害の過小評価がまかり通っていること、その結果、多くの人々が知らず知らずのうちに効果のない治療を受け、不必要な害にあっていることが世界的に注目され、製薬企業に、すべての臨床試験結果を開示させる必要があることが叫ばれている[3,4]。

こうした世界的な動きに対して、イレッサ薬害裁判では、時代の動きを逆行させる判決が次々になされた。

イレッサ薬害の本質は、欠陥薬剤の承認・販売、そのための操作

弁護団をはじめ原告を支援する人たちのこれまでの努力は貴重であった。しかしながら、多数の意見書を作成し[2]、6度法廷に立った者として、この裁判を振り返り、ここで、弁護団[1]、および支援する科学者・医療人[5]に対しても、あえて苦言を呈しておきたい。

このイレッサ薬害による死亡被害は、企業が、副作用が少ない夢の新薬であるという宣伝を行い、添付文書の警告も不十分であったために起きた、という点が問題の本質ではない。もっとはるかに本質的な理由によって生じた薬害である。本質的な重大な欠陥を抱えた化学物質であるものを市場に出すために、動物実験や臨床試験の各段階でデータ操作を行い、あたかも安全であるかのように見せるという犯罪行為によって生じた薬害であった。

その点への切り込みが弁護団には不足し、宣伝や添付文書の記載不十分、要望書下書きといった、ある意味、些末な問題に論点が絞り込まれてしまったために、裁判所の判断を誤らせてしまったのではないか、と考える次第である。あえて、苦言を呈するというのはこのことである。

裁判は終わってもイレッサ薬害は続く

原告らに対して言いようのない苦しい思いを強いることによって、この裁判は終了しようとしている。この裁判に意味があったとすれば、かろうじて、医師の使い方が慎重になり使う患者数が減少したことがあげられよう。しかしながら、原告らの被害は何ら救済されていない。イレッサの使用人数が減り、薬害裁判は一応終了したとしても、イレッサは今も薬害を作り続けている。承認が取り消されず使い続けられる限り、イレッサで利益を得る患者よりも無駄に死亡する人の方が多い[2]ということに変わりはないからである。

イレッサ薬害の本質の検証を

この事件を検証するためには、医学的な欠陥と、製薬企業および国のデータ隠しなど科学的不正があったことを指摘する必要があり、そのためにも、全面的なデータ開示[3,4]をメーカーと国に迫る必要がある。

データ隠しがあったことは、すでに明らかである。2003年、メーカーや国にデータ開示を裁判で求めても、開示を拒否していたが、裁判の進行とともに、開示しないことにメディアが注目し、問題化しそうになって、動物実験結果を部分開示し[6]、また、臨床試験の死亡や重篤例のケースカードを、裁判所の命令でようやく開示し[2]、それを検討することで、それまで不明であったことが多数明らかになったからである[2]。しかしながら、非常に残念なことに、それらの事実を裁判所は徹底的に無視した。また、市販後に実施された臨床試験のデータをメーカーに求めても開示を拒否している。

まずデータ開示を

これらのデータを開示させ、それを用いた適切な科学的な検証によってこそ、無効あるいは有害な薬剤を追放することが可能となる。

その上で、イレッサの、物質としての妥当性の検証が科学的になされなければならない。私は現在、タミフルなどノイラミニダーゼ阻害の効果と害を検証する作業をコクラン共同計画の一員として行っている[7]が、イレッサには検証すべき課題が大いにあるということを、世界に発信する所存である。

参考文献
1.最高裁判決に対する薬害イレッサ訴訟統一原告団・弁護団声明、最高裁判決
2.浜六郎、イレッサの毒性・本質的欠陥に関する意見書8通
3.すべての臨床試験のすべてのデータへのアクセスが必要
4.英国医師会雑誌(BMJ)のキャンペーン
5.薬害イレッサ訴訟の最高裁における公正で科学的な判決と薬害イレッサ問題の全面的な解決を求めるアピール
6.イレッサで「イヌに肺炎」が判明-毒性データはやはり隠されていた
7.タミフルの効果と安全に疑問:コクラン研究

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No162

2012年11月13日 『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No161

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No161

英国医師会雑誌(BMJ)のキャンペーン
日本語訳をつけました
タミフルをはじめ、薬剤に関するデータの公開を求める

インターネット速報No.160で、2012年10月29日に英国の新聞「タイムズ」[1]が「製薬企業はクリーンにならねば」(Drug companies must come clean)と題する「臨床試験データの公開を求める」研究者らの声明を掲載したこと、および、英国医師会雑誌(BMJ)が同日、臨床試験情報の公開を求めるキャンペーンを開始したこと[2-4]をお知らせしました。

それぞれの英文文献のリンクを示して、要旨を載せたものでしたが、その後、BMJ誌編集長から日本語訳掲載の了承を得ましたので、速報No.161としてアップいたします。

なお、2012年10月17日に行われた、タミフルの情報非開示の取り消しを求める訴訟における、原告本人尋問での発言について、速報No161でお知らせする、としましたが、この日本語訳(速報No161)に続く、速報No162でお知らせの予定です。

また、

4)Observations:Open letter to Roche about oseltamivir trial data. は翻訳完了次第No160およびNo161に追加掲載し、

1)TIMESに掲載されたLetter to the Editorの翻訳は、許可が取れ次第、同様に追加掲載する予定です。

参考文献
1.THE TIMES: Oct 29.2012 Letter to the Editor
2.Editorial: Clinical trial data for all drugs in current use. BMJ2012;345:e7304
【日本語訳はこちら(pdf) 】
3.Feature:Open Data Campaign:Tamiflu: the battle for secret drug data:BMJ 2012; 345 doi.
【日本語訳はこちら(pdf) 】
4.Observations:Open letter to Roche about oseltamivir trial data. BMJ2012;345:e7305

インターネット速報版No161

2012年11月08日 『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No160 臨床試験データの全面公開を

臨床試験データの全面公開を
英誌BMJがキャンペーン

患者や市民だけでなく医療者も知らされていないのが現状

2012年10月29日、英国の新聞「タイムズ」[1]が「製薬企業はクリーンにならねば」(Drug companies must come clean)と題する「臨床試験データの公開を求める」研究者らの声明を掲載しました。

また、英国医師会雑誌(BMJ)が同日、臨床試験情報の公開を求めるキャンペーンを開始しました[2-4]。

BMJ誌はまず編集長の論説で、「現在市場にある全薬剤の臨床試験データを-独立した吟味を可能にしなければならない」“Clinical trial data for all drugs in current use-Must be made available for independent scrutiny”と言っています。

発端は、抗インフルエンザ剤タミフルの検証です。2009年から、英国のコクラン共同研究のタミフル検討グループによって、その効果と害の吟味の見直しが始まりました。ところが、ここに大きな障壁がありました。吟味しようにも、肝腎なデータがあまりにも未公開なのです[5-7](速報版No.139、149、154)。


タイムズ紙の「編集長への手紙」[1]は、BMJやLancetといった世界的に名のある医学雑誌の編集長や、英国コクラン共同計画のメンバー、オクスフォード大やヨーク大等々の医師・教授ら28人による共同声明です。その趣旨は次のようなものです。


編集長どの

現在、臨床試験のうち半分は学術雑誌で出版されたことがありません。問題はそれだけではなく、英国はタミフルの備蓄に5億ポンド(約640億円)を割いたが、ロシュは、コクラン共同研究への情報提供を拒み続けています。

情報の公開により知識への自由なアクセスが拡大している今日において、現在の製薬企業のこのような秘密主義は許されるものではありません。

政府は、臨床試験データが公開されない場合は、公衆に害を与えることになるのだということを認め、改善のための一歩を踏み出さねばなりません。

現在用いられているすべての薬剤の、全臨床試験の患者ケアに関わるすべての情報を、医薬専門家が利用できるようにならなければなりません。それが実現するまで、患者は不必要な害を被ることになります。


英国では、声明を発表した人たちとの会見に保健大臣が同意したとのことです。


BMJの記事は、3年にわたるコクラン共同研究のタミフルグループの請求にもかかわらず、ロシュ社は第3相臨床試験のデータの60%を公開していない。タミフルによって何億ポンドもの利益を享受したロシュ社が、なぜ、患者と医師に、全臨床試験データへのアクセスをさせないのか、データ公開キャンペーンをする[2]というものです。


英国では、国が主導してコクランのグループにタミフルの益と害を検証させています。備蓄のために費やした保健医療費がむだな出費でしかなかったのではないか?をきちんと調べているのです。


翻って、日本政府や所轄官庁である厚生労働省はどうでしょう? 今年もまたインフルエンザシーズンが近づいてきていますが、タミフルの備蓄に費やした英国よりも膨大な出費の検証などそっちのけです。


薬剤の臨床試験の重要なデータの公開に関して、日本の状況は、イレッサ裁判において、情報公開法を使っての請求は退けられました。世論の後押しでアストラゼネカ社が応じましたが、すべてのデータではありません[8](速報版No.74)。

同様に、タミフルのデータも、「企業の秘密を損なう」との理由で請求は却下されました。現在、浜六郎(医薬ビジランスセンター:薬のチェック代表)が原告となって、タミフルの情報非開示の取り消しを求める裁判が進行しています。


国は、企業秘密を守ることよりも、患者が被るかもしれない害を防ぐことや、医療費の無駄遣いを吟味、検証することを重視するのが、本来の仕事なのではないでしょうか?

前後しますが、2012年10月17日に行われた、タミフルの情報非開示の取り消しを求める訴訟における、原告本人尋問での発言について、速報No161でお知らせする予定です。

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No160

2012年02月03日 『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No155 タミフルなど抗ウイルス剤は免疫を抑える

タミフルなど抗ウイルス剤は免疫を抑える

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)浜 六郎

タミフル(オセルタミビル)の害は、突発型と遅発・遷延型があります。 突発型は、服用直後から半日後程度で急激に現れ、短時間で消えることが多いものです。典型的な症状は、異常言動やせん妄、意識障害、あるいは、その結果、事故(死)に至ることがあります。また、より強く作用すれば、呼吸停止により突然死したり、命はとりとめても、低酸素性の脳傷害で後遺症が残ることもあります。そして、これら突発型は、主にオセルタミビルそのものが脳の中に入り込んで脳を麻痺させる結果生じたものと考えられます。

一方、遅発・遷延型の反応には、血糖値の上昇や腎障害、出血、感染症が増える、遅発性の精神神経症状、発がん性などがあります。こうした反応は、インフルエンザウイルスの活動を邪魔する作用(ノイラミニダーゼ阻害作用)が、人のどの細胞にもあるノイラミニダーゼを阻害することによって起きるものです。

さらに最近、人のノイラミニダーゼが阻害されると免疫が抑えられることがわかりました。しかも、問題になるのは、免疫を抑えると、インフルエンザの症状が見かけ上、よくなるのですが、他のウイルスや細菌が繁殖して別の感染症を起こしやすくなったり、次からインフルエンザにかかりやすくなる危険性があることです。

したがって、最近公表されたコクラン共同計画の研究結果で分かったタミフルの唯一の効果(症状改善までの時間が21時間短縮すること)についてさえ、単に見かけ上の効果である可能性があることが判ったのです。

コクラン共同計画のノイラミニダーゼ阻害剤評価チームで検討して気付いたこの事実は極めて重要です。この点について、特に詳しく解説しましたので、ごらんください。

医師・薬剤師など専門家向け(詳細版:TIP誌2012年1月号)

医師・薬剤師など専門家向け(簡略版:集中2012年2月号)

一般向け:薬のチェックは命のチェック・インタビュー

一般向け:ちいさい・おおきいNo86(2012年2月掲載版をベースにした改訂版)

インターネット速報版No155

2012年01月24日 『薬のチェックは命のチェック』タミフルの効果と害について 浜六郎インタビュー

タミフルの効果と害について
2009年インフルエンザシーズンは、いたずらに恐怖を煽ったとしか表現
のしようのないものでした。タミフルを使ったから日本では死者が少なかった
のだ、という発表がなされたりしました。果たして、タミフルにそれほどの効果
があったのでしょうか? 害は?
2011年12月、英文医学雑誌International J. Risk Safe Med に、タミフル
と突然死との関連に関する世界で初めての研究論文が載りました(注)。
また、2012年1月17日には、コクラン共同計画が、タミフルのインフル
エンザの重症化を防ぐ効果を疑問視する、との報告書を発表しました。
研究論文の筆頭著者であり、コクランのタミフル検討メンバーでもある浜六
郎医師にインタビューいたしました。質問項目は読者から寄せられたものを基
に編集部でまとめたものです。(2012年1月19日)

タミフルの効果と害について 浜六郎インタビュー(PDF

タミフルの効果と害について浜六郎インタビュー(音声

2011年12月21日 『薬のチェックは命のチェック』タミフルが突然型死亡を誘発:疫学研究ではじめて指摘

(2011.12.21号)

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No151
タミフルが突然型死亡を誘発:
疫学研究ではじめて指摘

オセルタミビル(タミフル)の害に関する新知見:
浜とジョーンズら:2009年インフルエンザ死亡の相対死亡率研究で
International Journal of Risk & Safety in Medicine 23 (2011) 201–215. IOS Press(フリーアクセス可)
日本語全訳はこちら  英語版正誤表こちら

因果関係を認めず推奨する当局

タミフルと突然死や異常行動との因果関係を示す証拠はつぎつぎに蓄積されてきています。しかし、WHOも各国規制当局もその因果関係を認めていません。それどころか、2009年型インフルエンザの世界的流行開始以来、WHOや各国でますます推奨されています。

突然型死亡との関連をはじめて指摘した疫学研究

今回、当センター(薬のチェック)代表の浜六郎医師とマーク・ジョンズ博士(オーストラリア、クイーンズランド大、生物統計学)らのグループは、国際医学雑誌「医薬品のリスクと安全性」誌上に、タミフルによる突然型死亡の増加を示す疫学研究を発表しました(標記アドレスからオンラインでフリーアクセス可能)。

利用したのは全て当局公表による資料

この研究は、タミフルと突然型死亡との関連を指摘したはじめての疫学研究です。用いたデータは、厚生労働省(厚労省)による新型インフルエンザ全死亡例198人のプレスリリース情報です。新型インフルエンザに罹患後死亡した全198人中、初回受診中までには、人工呼吸器を必要とするほどの状態悪化が認められなかった162人について解析しました。このプレスリリース情報は、医師から一定の様式で報告を受けたうえ、所轄の保健所、自治体が不足情報を補充して厚生労働省に報告したもので、厚生労働省が公衆衛生の必要上から、全例公表したものです。そのあめに、解析に必要な情報がほぼそろっており、信頼性の高い解析が可能となりました。

相対死亡率研究で突然急変を比較

用いた手法は相対死亡率研究proportional mortality studyというものです。新型インフルエンザ推定患者数のうち、タミフル使用者中の死亡者の割合とリレンザ使用者中の死亡者の割合(死亡率)を比較しました。タミフルとリレンザでは、10代への使用が異なるので、年齢を調整しました。

そのうえで、特に突然型死亡(処方12時間以内に急変後死亡)に焦点を当てて死亡危険度を計算しました。

処方患者数はタミフル対リレンザ=10対7
         突然型死亡は 38人対0人

処方患者数は、タミフルとリレンザで約10対7(1000万人対700万人と推定)でしたが、タミフル処方後に死亡した人が119人いました。そのうちの38人は12時間以内に急変した後死亡しました(うち28人は6時間以内の急変)。

リレンザ処方後の死亡は15人でした。突然型死亡(12時間以内急変後死亡)はいませんでした。

突然型死亡の危険度は少なくとも約6倍

突然型死亡の危険度(オッズ比)は5.9(p=0.014、正確確率検定法ではp=0.0003)、死亡全体の危険度(オッズ比)は1.9(p=0.031)でした。

抗ウイルス剤がインフルエンザ患者の85%に処方されたと仮定した場合(実際は60〜85%の間)、タミフルもリレンザも使用しなかった人は約300万人と推定されます、死亡したのは、31人でした。タミフルもリレンザも、解熱剤も使用しなかった場合に対するタミフルの突然型死亡の危険度は3.8(p=0.05、正確確率法ではp=0.009)でした。

最新データでは「なし」に対する危険度は10倍超

最新のデータ(厚労省公表)から推定したインフルエンザ受診患者の抗ウイルス剤処方割合(約60%)を用いて再計算すると、リレンザに対する危険度は、基本的に差はありませんが、抗ウイルス剤非使用に対する突然型死亡の危険度は併合オッズ比13.4(p<0.0001)と大きくなります。

突然型死亡は健常者に起きやすい

突然型死亡に年齢や性,タミフルやリレンザが処方された時の重症度などは無関係でした。むしろ、基礎疾患のある人より,「ない」か「不明」の場合の方が,突然型の死亡が多かったのです。ふだん健康な人の方が突然型死亡の危険が大きい可能性をうかがわせます。

3つの大規模疫学調査で異常行動や意識障害

厚労省は認めていませんが、少なくとも3つの前向きの疫学調査(コホート研究)の結果で、タミフルと異常行動や意識障害との関連が示されています。

最大規模で仮説検証に近いコホート研究として実施された研究では、せん妄や意識障害が有意に増加しました(論文、薬のチェックによる解説)。

すなわち、インフルエンザにかかって4日間全体の危険度は、せん妄が1.5倍、意識障害は1.8倍(p=0.039)でしたが,感染初日で最も危険が大きかった時期には,タミフルは,せん妄を約7倍,意識障害を約5倍(いずれも統計学的に高度に有意)に跳ね上がります。この現象は、どの研究でも共通していて、今回の突然死の研究でも認められているので、確実です。

毒性試験では危険回避不能、覚醒不良後に呼吸障害で死亡

2007年に厚生労働省が因果関係の見直しのためにメーカーに対して課した毒性試験の結果では,タミフル投与後短時間にラットが危険回避不能になり,2時間後に意識障害のあったラットは24時間以内に呼吸困難,呼吸抑制で約7倍、突然死ました(詳しくは、TIP誌2011年7月号、10月に開催された第43回日本小児感染症学会で発表したスライド参照)。

使用後短時間での異常はすべての研究で共通

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)ではこれまで、タミフル使用後短時間で突然死や異常行動から事故死した人は、因果関係があると指摘してきました。

因果関係を示すこれら一連の証拠(毒性試験結果や、複数の前向きコホート研究)の上に、今回は疫学調査で突然死との関連が認められたのです。

このことから、著者(浜ら)は、タミフル使用が、特に使用12時間以内の突然型死亡を誘発しうる、と結論づけました。

「タミフルは使わない」という選択を

そのうえで、「予防の原則」を考慮するなら、本研究で示されたタミフルの有害性は考慮されなければならないとしています。これは、単にあいまいな「予防の原則」ではなく、ほぼ確実な因果関係が示されうえでの判断が求められることを意味します。

服用後ごく短時間の死亡の多発は、自然に治まるインフルエンザの治療には許容できないでしょう。「使用しない」という選択が必要であると考えます。

解熱剤は害、リレンザなど他の抗ウイルス剤も無効

インフルエンザには、解熱剤は有害です。解熱剤も脳症や死亡を増やします。リレンザや他の新しい抗ウイルス剤はタミフルのような短時間の害作用はないとしても、用いない場合に比較して、重症化や死亡を減らす効果があるわけではありません。

薬にたよることなく、暖かくしてゆっくりと休養し、睡眠をとることが、最善の方法であるということを、あらためて強調しておきたいと思います(参考:くすりで脳症にならないために)

やや簡略化したプレスリリースも公表しました。

連絡先:NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)代表 浜 六郎

(薬のチェック)

2011年11月18日 イレッサの「本質的欠陥」こそ徹底議論を!「薬害イレッサ訴訟」

(2011.11.17号)

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No150

イレッサ:歴史的な悪判決

イレッサの「本質的欠陥」こそ徹底議論を!

NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)代表 浜 六郎

「薬害イレッサ訴訟」で、東京高裁は、11月16日、製造販売元であるアストラゼネカ社(以下ア社)と国の責任を一切認めず、原告の請求を全面的に棄却する判決を下した。

本年3月(速報No145)、東京地裁の判決の前に、述べた危惧「医学的観点からの問題点を明確にしない限り、 国の責任はあいまいになったまま終わるであろう」が現実のものとなってしまった。

これでは今後、この国から薬害は永遠になくならない。

イレッサそのものの欠陥が重大

イレッサの「医学的観点からの問題点」とは、その開発前の段階から、動物実験、治験段階、承認前後、市販後の臨床試験を医学的な面から系統的にみた、イレッサそのものに内在する著しい欠陥のことである。欠陥隠しの方法は、
1.開発前に分かっていたEGFR欠損で肺虚脱が生じることが判明していたがこれを無視。
2.肺虚脱したイヌなど肺傷害所見を意図的に誤解釈、
3.その事実を治験医に知らせず(情報隠し)、
4.臨床試験では実質的にプロトコル違反の数々を重ね、
5.有害事象死亡の94%をイレッサと「関連なし」と根拠なく否定し、
6.医師が関連を指摘しても有害事象の病名を、コード化を利用して書き変え、
7.開始数日以内の電撃的肺虚脱死亡例を「副作用」から除外し、
8.肺塞栓血栓症、胸水や心のう液貯留、細菌性・真菌性肺炎(註)、全身虚脱など、関連ある副作用死亡を、副作用から外し、
9.まったく回復していない例を回復したと偽り、
10.臨床試験では開始初期に多数が死亡したのに、イレッサ群の多くを対照薬剤に変更して悪化を防ぎ、対照薬剤群の人はイレッサに切り替えて悪化させ、生存には差がなかったという、ランダム化比較試験とは言えない試験を繰り返し、
11.EGFR遺伝子変異陽性が比較的良かった試験を大々的に宣伝し、逆の結果の試験はメディア発表なく無視した。

などである。

註:イレッサで肺が傷害されると、細菌性・真菌性肺炎からの修復が不能になり、急速に悪化するため、これもイレッサによる副作用である。東京高裁判決では、真菌性肺炎(ニューモシスチス肺炎)を合併した被害者を、「イレッサは無関係」としたが、「因果関係はある」と判定しなければならない。

こうしたあの手この手の工夫(データ操作)による見せかけの「有効性」「安全性」、欠陥を徹底的に隠した結果、「必要神話」・「安全神話」がつくられた。

イレッサ薬害は、毒性試験や臨床試験の方法とともに、毒性所見や有害事象との因果関係の評価方法を根本的に考え直さないといけない課題をたくさん明らかにした。今後の薬害を防止するためには、その課題の解決がなにより重要である。

原子力発電の必要神話・安全神話の形成と同じ

原子力発電は、最高レベルの安全性を確保したとしても、技術そのものに内在する危険性を取り除くことが不可能である。イレッサにも同様に、添付文書で安全対策をいくら丁寧に行っても回避できない危険・害が内在している。

そして、原子力発電が、企業はもちろん、学者も国もこぞって、データを捻じ曲げてでも安全性を強調してきた結果が、今回の福島原子力発電所の炉心融解事故であった。

原子力発電の危険性は40年以上も前から分かっていたのだが、本質的に内在する危険性を指摘する発言を、「ごく一部の科学者の特別な考え」として、マスメディアも黙殺してきた。しかし、その「ごく一部の科学者の意見」が、実は最も真実を語っていたということが、今回のフクシマ原子力発電所の事故で明らかになってきた。

原子力発電の「必要神話」・「安全神話」が作り上げられてきたのと同様、「イレッサ」の「必要神話」・「安全神話」も作り上げられていたのである。しかも、原子力発電同様に、データ隠し、データのねつ造までしたうえでの神話作りの結果である。

「添付文書の記載が不適切であった」という問題に限定して議論をしている限り、この重大な薬害問題の解決はないと私は確信している。このイレッサ問題は、極めて重大であり、そのものに内在する問題点を、ぜひとも真っ向から議論し直していただきたい。

より本質的な議論の必要性が、今回の東京高裁の判決でいっそう明らかとなった。12月15日には大阪高裁で第2回控訴審が開催される予定である。

高裁と地裁:判決の違い

大阪地裁(2011年2月)や東京地裁(同年3月)にア社あるいは国に対して認めた責任は「イレッサの承認初期に致死的可能性の警告が不適切であった」という点であった。

すなわち、イレッサとの関連が否定できない間質性肺炎は、重大な副作用の項の最初に書くべきであり、致死的経過をたどる可能性について、第一版の添付文書の警告欄に記載すべきであったが書かなかった、というものである。

これに対して高裁判決では、「重大な副作用」欄に「間質性肺炎」が書かれていたのであり、がん専門医や抗がん剤治療医なら、「間質性肺炎が発症した場合、それが致死的になりうることを認識していたということができる」とし、製造物責任法上の欠陥には当たらない、とした。

しかも高裁判決では、その前提として、地裁が認定した「副作用例」は「因果関係が否定できない例」も含む「可能性」「疑い」例であり、これは薬事行政では使用されるが、法的にはそうした「判定基準は存在しない」とした。そして、製造物責任法上の責任を求めるには、「可能性」「疑い」でなく「因果関係がある」と判定されなければならないとし、イレッサ販売当初、間質性肺炎の因果関係は「可能性」ないし「疑い」がある例はあったが「因果関係がある」と認定できる症例は存在せず、したがって、民事上の損害賠償は認められないと判決したのである。

判決は腫瘍縮小効果だけで「有用」と判断:徹底的な批判を

東京高裁判決でも、承認当時も現時点でも、有効性が危険性を上回り有用性があるとした。しかし、その論理は、おどろくべきものである。

イレッサの延命効果は証明されていないから有効性は認められない、との原告の主張に対しては、地裁での論理を踏襲して、イレッサが非小細胞肺癌に対して腫瘍縮小効果を発揮すること、非小細胞肺癌の化学療法における腫瘍縮小と肺癌患者の延命可能性との間に有意な相関がある(原判決に記載のとおり)」との理由のみで、退けている。

また、EGFR遺伝子変異ありでも延命効果は認められていないし、遺伝子変異なしの例では明瞭な著しい延命短縮効果を認めている事実には何も触れていない。そして、「日本人については、EGFR遺伝子変異が陰性の場合にも14%程度(腫瘍縮小)効果があるという臨床研究の結果もあり」と述べ、この場合にも有効であるかの論を展開している。

腫瘍縮小効果とは逆転した「生存期間短縮」の事実がイレッサで明らかになったにもかかわらず、企業と利益を一にする学者らの研究を唯一の根拠に、企業擁護のために無理な論理を展開している。このような論は徹底的に批判し、撤回させなければならない。

地裁と高裁の判決の差はなぜ生じたのか

ではなぜ、地裁と高裁でこれほど異なる判決結果がでたのであろうか。私は、判決には反映されなかったとしても、地裁で指摘された「イレッサのもつ本質的欠陥」の議論の差が出たのではないかと考えている。

私は、2002年に間質性肺炎による多数の死亡者が出たとの報道に接して以来、すぐさま資料を取り寄せ、イレッサの承認の是非を医学的立場から検討した。申請資料概要をメーカーから取り寄せ、それに疑問があれば、メーカーに質問したが、肝腎のことにはメーカーは答えないために、厚生労働省に情報公開法を用いて資料開示を求めたが、拒否され、裁判で訴えたが拒否された。

しかし、被害者家族による民事裁判の進行に伴い、メーカーが開示せざるを得なくなった資料や、文献を詳細に検討した。

イレッサ薬害の裁判では、これら検討結果を基礎に、2007年2月から、合計6回、事実と証拠に基づいた意見書を書いた。また、大阪では4回、東京でも2回、合計6回法廷に立ち証言した。国や企業の代理人の反対尋問に対しても適切な反論をしている。さらに、私の意見書や証言に対する国や企業側の学者証人の証言や意見書に対して、徹底的に批判を加えた意見書を提出している。こうした意見書や証言では、イレッサの害が有益性を上回ること、承認当時の知識からしてもその害に気づくことができ、承認そのものが不適切であったことを、事実に基づいて述べた。

結果的に、1審判決でも採用されなかったが、裁判官は私の証言を直接聞き、国や企業代理人の尋問に対する私の反論を聞き、「イレッサそのものに本質的な問題がある」との考え方が、頭のどこかにはインプットされているはずである。しかし東京高裁では、そうした情報をたとえ読んだとしても、紙の上である。

表面的には、本質論で、地裁と高裁の判断は違わないものの、「情報提供の不備」の扱いに、本質論での理解の差が出たのではないかと推察する。

イレッサの本質的問題については、速報No145で詳細を述べたので、それをご覧いただきたい。

薬剤の効果と害の分析に、徹底的第三者の検証システムを

臨床試験・承認根拠情報の全面開示と検討のための予算化が必要

コクラン共同計画は、医療行為の利益と害の最も信頼できる証拠を提供することを目的とした国際非営利組織である。その目的を達成するために、全臨床試験の全データへの無料アクセスを求める声明を最近(2011年10月)発表した。声明文全文、プレスリリースなどはこちらを参照。その概略は以下のとおり。

臨床試験報告にはデータの選別(データ隠し)が頻繁なため、医療技術の益の誇張、害の過小評価につながっている。その結果、多くの患者が無効な医療を受け、不必要な害に遭っている。これは治療の改善のためにボランティアとして研究に参加した患者との契約違反になり非倫理的である。全臨床試験全データの速やかな公開と利用可能とするためのコクラン共同計画の提案は以下のとおり:
•全ランダム化比較試験は、試験開始時に登録(1人目の患者採用前に登録)すること
•全試験の全データ・試験プロトコルの無料アクセス(電子フォーマットの形で)
•試験期間終了から12か月以内に、全データの提供が必要との法律の導入を政府は検討すること
•不服従に対する懲罰的手段考慮:主要データ(core data)は無期限に利用可能な状態に保持するか、中央あるいはアクセス可能な別部門に蓄積する.また、試験データの所有権は、主催者(スポンサー)、研究者、ならびに臨床試験参加者(試験対象者)で共有すべきものであるということを認識すること。

コクラン共同計画が強調しているように、厳正であるべき医薬品の臨床試験でデータ隠しが頻繁に行われている。世界的にはこれを変えようとの動きがある中、それを逆転させようとする今回の判決は断じて許すことができない。

タミフルでもデータ隠し横行:明らかになってきた無効と害

私が参加しているコクラン共同計画のグループでは、タミフルなどノイラミニダーゼ阻害剤のシステマティックレビューグループを行っている。 このグループに対して、メーカー(ロッシュ社)は臨床試験データの提供を約束したが、そのデータを一部分提供しただけで、 全体を提供しない。何度請求しても、一部以外、提供には応じなかった。

そのために、限定的なレビューにならざるを得なくなったが、その限定的に入手したデータを解析した結果でも、数々の問題点が明らかになってきた。

最大の問題点は、臨床試験方法の根幹にかかわり、効果の過大評価につながる巧妙な方法が、全ての臨床試験で行われていたことである。 したがって、タミフルの全試験を問いなおされなければならなくなるだろう。

このことは、12月に発行される予定のコクランライブラリー(コクラン共同計画の出版物)に掲載されるシステマティックレビューにおいて詳細かつ明確に記載した。

欠陥薬剤の「本質的欠陥」を見抜くための体制作りが急務

こうした、企業がひた隠しにしてきた情報の開示を求め、薬剤の本当の効果と害を再検討する作業をしない限り、この世の中から薬害はなくならない。

今回の悪判決を教訓に、イレッサの「本質的欠陥」をいま一度問いなおし、真実を追及しようとしている世界の科学者とともに、本当に薬害を防止できる体制づくりを目指したいと考える。

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No150

2011年11月09日 【薬食審調査会】抗インフル薬の異常行動、2日間の注意を継続

薬事・食品衛生審議会の調査会は2日、タミフル等抗インフルエンザ薬の服用と、突然の走り出しや飛び降りといった異常行動との関連について、「因果関係を示唆する結果は得られていないが、現在の予防的な安全対策を変更する積極的な根拠も得られていない」とし、引き続き罹患時の注意喚起を徹底すべきと結論づけた。
 厚生労働省は、従来通り添付文書で、▽異常行動が発現する可能性がある▽自宅療養の際に最低2日間は子供を1人にしないこと――を患者や家族に説明するよう求めると共に、情報収集を続ける。
 国立感染症研究所の分析によると、異常行動は抗ウイルス薬を服用していない患者を含めてインフルエンザ罹患者に一定の確率で認められ、ほとんどが発熱後2日目までに発生している。
 また、昨シーズンの副作用報告では、タミフルで16例、リレンザで8例、イナビルで5例、ラピアクタで1例の異常行動が起きているが、死亡に至る事例はなかった。
 タミフルについては、過去の症例を用いた薬剤疫学研究から、せん妄や意識障害の発現リスクがアセトアミノフェンに比べて高いことを疑わせる知見が得られたが、検証的なケース・コホート研究でなく、データ解析に限界があることなどを踏まえ、「因果関係が明確となったとは言えない」と判断した。

http://www.tamiflu89.sakura.ne.jp/kizi.php?eid=00427&pickup=2

2011年03月05日 タミフル使用でせん妄-意識障害が増加

藤田利治氏(統計数理研究所教授)らのグループが発表した薬剤疫学的研究によれば、インフルエンザにかかり、オセルタミビル(タミフル)を服用した場合、服用しない状態に比べて、せん妄が約1.5倍、意識障害は1.8倍多くなっていました。この結果は、日本薬剤疫学会が発行する医学雑誌「薬剤疫学」の最新号に掲載されたものです(薬剤疫学15(2):73-92, 2010)

同論文の要旨(英文)を日本語に翻訳して、NPO法人医薬ビジランスセンター(薬のチェック)の解説を付けて紹介します(英文要旨の当センターによる翻訳)。

なお、筆頭著者の藤田利治氏は、この研究が学会編集委員会に受理された後、2月15日に逝去され、この研究論文は遺稿となりました。謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。


この論文の特徴は、

第1に、インフルエンザにかかり、オセルタミビル(タミフル)を服用した場合、服用しない状態に比べて、せん妄が約1.5倍多く(ハザード比1.51)、意識障害は1.8倍多くなっていた(ハザード比1.79)ということが、探索的研究ではなく、仮説強化を目的とした疫学調査結果で認められたことである。

第2に、せん妄は、発熱後8時間から16時間後頃まで、タミフル服用で5〜7倍有意に生じやすくなっていたことが記載されている。また、意識障害は発熱後10時間から24時間後頃まで、タミフル服用で4〜6倍有意に生じやすくなっていた
第4に、タミフルに対する当局の規制が「10歳以上の未成年」とされている点について、「10歳未満で事故につながりかねない異常行動の発生率が高い可能性があることは留意する必要がある。」と述べている点も重要である(久保田潔日本薬剤疫学理事長による藤田氏への追悼文を兼ねたこの論文の論評のなかでもその重要性が指摘されている)。

ただ、「10歳未満で事故につながりかねない異常行動の発生率」の高さは、タミフル使用時の未使用状態に対するハザード比ではないため、不明確である。しかし、せん妄は、6〜11歳で最も発症率が高く(1000人日あたり9〜11歳が4.6人、6〜8歳が4.0人)、意識障害は、0〜11歳まではほとんど変わらなかった(3〜5歳で最も高く同3.02人だが、他は2.07〜2.83人)。

先に述べたように、タミフル未使用状態に対するタミフル使用状態でのハザード比が、発熱から10〜16時間以内で非常に高かったことを考慮すれば、これらの年令では、タミフルの影響をより強く受けるのではないかと推察される。

タミフル使用によるせん妄や意識障害の、年齢別のハザード比をぜひとも知りたいものである。


第5に、「参考として実施した解析」との断りつきではあるが、ケース・コホートの手法による解析結果では、タミフルのハザード比は、2.88(p<0.0001)、アセトアミノフェンとの調整をしたうえでも2.80(p<0.0001)とやはり有意であった(アセトアミノフェンとの関連は有意でなかった)。


第6に、異常行動の延長線上にある「せん妄」だけでなく、「意識障害」との関連も認められた点が重要である。なぜならば、意識障害は、せん妄よりも低年齢で生じやすく、突然死につながりうる症状だからである。


最後に特筆すべきは、これらの研究は、厚生労働省の研究として廣田班により2009年6月16日に最終報告がなされた調査データと同じデータで解析された(もともと藤田らにより計画されデータが収集されたが、「利益相反問題」のため、廣田班で解析報告されたもの)点である。廣田班の解析方法がいかに誤ったものであったかを如実に示している。


したがって、厚生労働省は、今回公表された結果に基づき、また、動物実験の結果も含めて、これまでの症例につき、再検討しなければならない。


インフルエンザ罹患後の精神神経症状と治療薬剤との関連について

藤田利治1)、藤井陽介1)、 渡辺好宏2)、小坂仁2)、 和田敬仁2)、森雅亮3)、横田俊平3)
1.統計数理研究所
2.神奈川県立こども医療センター
3.横浜市立大学大学院医学研究科・発生成育小児医療学

薬剤疫学:15(2): 73-92, 2010

要旨 (NPO法人医薬ビジランスセンター=薬のチェック翻訳)

目的:

インフルエンザに合併症する意識障害、異常行動、せん妄、幻覚、けいれんなどの精神神経症状の発生メカニズムは完全には解明されていない。インフルエンザ治療中の薬剤使用と精神神経症状との関連についての理解も乏しい。本研究は、インフルエンザ罹患後の精神神経症状と使用薬剤との関連について焦点を絞って検討した最初の薬剤疫学的研究である。

研究デザイン:

コホート研究

方法:

研究対象は2006/2007年シーズンにインフルエンザに罹患した18歳未満の患者である。医師用査票と患者家族用調査票を用いて、2007年1月から3月の間に調査を実施した。回収された9,389例を用いて、精神神経症状(せん妄、意識障害、熱性けいれん)と、使用薬剤(アセトアミノフェンおよびオセルタミビル)との関連について解析した。

結果:

せん妄について、薬剤の未使用状態に対する使用状態のハザード比(リスク因子で調整した比例ハザードモデルによる多変量解析結果)は、アセトアミノフェンが1.55(p=0.061)、オセルタミビルは1.51(p=0.084)であった。これらの結果は有意ではなかったが、いずれの薬剤も、せん妄発生リスクの増大する傾向がみられた。特にオセルタミビルでは発熱後6〜12時間に極めて高い発生率のピークが観察された(註1)。また、アセトアミノフェンと比べてオセルタミビル使用開始から、せん妄発生までの時間が短時間であった(註2)。意識障害は、アセトアミノフェンについては、(多変量調整解析による)ハザード比が、1.06(p=0.839)と、有意な関連が認められなかった。意識障害の発生率はオセルタミビル使用に伴い増加し、ハザード比は1.79 (p=0.039)と、有意な関連が認められた。また、オセルタミビル使用開始から短時間で意識障害が発生していることが認められた(註3)。

結論:

仮説強化を目的とした本報告から得られた暫定的成績は、薬剤使用(註4)とせん妄及び意識障害の関連を疑わせるものであった。今後、治療薬剤と異常行動との関連を検証する薬剤疫学研究の実施が待たれるところである。

訳者註1:発生率比のピークは発熱から12時間後で7あまり(95%信頼区間の下限は約3.0)であった(本文p82図3より読み取り)。

訳者註2:せん妄は、タミフル使用後6.3時間で50%の子に生じ、13.5時間後には75%の子に生じていた(アセトアミノフェンでは50%に生じるのに13.3時間かかっていた)。

訳者註3:意識障害はタミフル服用後7時間で50%の子に生じていた(アセトアミノフェンでは50%の子が意識障害を生じるまでに13時間かかっていた)。

訳者注4:この薬剤とは、タミフル(オセルタミビル)を意味している(本文:結語より)。

著者らの「結語」(本文p90より)

 本研究は、インフルエンザ罹患後の精神神経症状(異常行動、意識障害など)と治療薬剤(オセルタミビル、アセトアミノフェンなど)との関連の検討を目的とした最初の薬剤疫学研究である。得られた暫定成績は、オセルタミビルとせん妄及び意識障害の関連を疑わせるものであった。今後、治療薬剤と異常行動との関連を検証する薬剤疫学研究の実施が待たれるところである。

『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No141

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